2015年9月8日火曜日

新潟市のBRTを語る前に確認しておきたいこと



9月5日から導入が開始された我らが新潟交通の新交通システムもトラブル続きでTwitterやFacebookなどでも活発な議論が散見され、時には炎上も辞さないような状況です。

そういった議論を注意して見てみると論点は下記の3点に絞られるのではないでしょうか。

・新交通システムについて
・料金システムについて
・連節バスについて

今日はこの3つの論点について分類してみたいと思います。

A.新交通システムについて

(1)BRTにも新交通システムにも反対
→新交通システムなど税金の無駄遣い。自動車最強。BRTいらんから無料駐車場作れ。

この手の人とは議論にもならないかも知れませんね。

しかし、万代クロッシングや水と土の芸術祭という悪例がありますので、市の施策に対して疑心暗鬼になる気持ちは理解できます。

FYI. 新潟市政改革プラン | 市民がつくる新潟の会

(2)BRTには反対だけど新交通システムには賛成
→地下鉄は無理としてもLRTのような軌道系がいいんじゃないの?

これは有識者に多いスタンスだと思います。
僕は富山県に行ったことがないので富山ライトレールについては資料でしか知りませんが、きっと素晴らしいんだろうなとは思います。
豊橋、松山、高知、熊本、鹿児島には行ったことがありますが、新潟であのインフラを整えるのはハードルが高い印象を持っています。
やるとしたら新潟交通ではなく、新潟市交通局としてかな。

FYI.
新潟の新公共交通をつくる市民の会:課題など

LRT化して利便性が大幅に向上した「富山ライトレール富山港線」に乗ってきた - GIGAZINE

(3)BRTに賛成で現状に反対
→専用レーンがないし現状システムはBRTと呼べない、中途半端は税金の無駄。

僕はこのスタンスです。
ラッシュの時間帯に名古屋、浜松のバスに乗ったことがありますが、専用レーンの効果は絶大です。
バスが通っている路線をマイカーで通勤している人もマイカーより速いとなればバスを使うようになるでしょう。
平成31年度までに専用レーンを作ると言われてますが、本当でしょうか。

FYI. おこここここ!! : 新潟BRT計画はBRTと呼ぶにふさわしいか?


(4)BRTに賛成で現状に条件付きで反対
→乗り換えが多いし、本数は減ったし不便になったと言わざるを得ない、改善の余地有り。

これがマジョリティだと思います。一時は反対しようとも決定には従うという成熟した市民性ですね。そして実際に利用してみてあれこれと改善点を挙げていく。

FYI. 乗り換えするけど「接続」はしない?開業3日目新潟BRTに新たな問題|新潟シモ古町 ときどき脳内マレー半島


(5)BRTにも現状にも賛成
→行政のやることに疑いの余地はなし。例え代替案を持ってきたとしても反対派は全員敵。

よく炎上を起こしているのはこのスタンスの人です。きっと少々の指摘をBRT全体の否定と感じてしまうのでしょう。
よくある発言:「篠田市長に投票しなかったのにどの面下げて連節バスに行列作ってるんだ?」



B.料金システムなど決済周りについて

(1)とても高齢者などの交通弱者向けの体系とは思えない。もう一回やり直し。

これは最もな意見ですね。確かに複雑怪奇です。

(2)分からないのは事前調査不足だからでしょ。情報が欲しければ自分で取りに行け。

こういう人が少なからずいて本当に驚きます。
僕や僕の周りの人達が人間中心設計について日頃から考えているためか、非常に違和感を覚えます。

(3)体系についてはとやかく言わないけど、時間をかけて丁寧に周知して欲しかったな。

僕はこの意見です。
昔、香港に行った時のこと、空港と香港駅を結ぶエアポートエクスプレスの「即日來回票」と言う当日限定で片道と同料金で往復できる切符の存在を知らずに片道分を2回払って往復した苦い経験があります。
観光客や高齢者にも分かるような説明があれば問題はないかと思います。

C.連節バスについて

(1)本当は8台欲しかったのに、反対が多いから4台で我慢したんだよ。
現在決定しているのは、新潟市の支出は6億5,000万円ということである。これで連節バスなどの契約を行ったが、連節バスの使用可能年数は15年から20年、乗り継ぎ・乗り換え地点の整備も行ったが15年以上は十分使用可能である。6億5,000万円を仮に20年で割ると1年の支出は3,250万円となる。現在の2億数千万円の支出と比べて、いかに投資効果が高いかはっきりと説明できるようになった。借金が大きいので、これからも事業効果の高いものを進めさせていただく。新潟市のこれからの公共交通政策は、先進的で他の自治体の模範になるので、国の支援を半分もらえる。どのような事業でも国が半分支援するわけではない。  連節バスについては、1人の運転手で多くの方を運べることは新潟交通にとってもメリットが大きいので、市民に利便性として還元されると思う。また、連節バスはシンボル性が高く、わくわく感があり、子どもたちが大喜びだという状況が確認できるようになった。連節バスを活用するのは一石何鳥もの事業効果がある。
連節バスであれば国から補助金も出るし、運転手一人あたりの輸送効率も良いし、わくわく感もあるというのが市の言い分です。
バスオタクもこの意見の人が多いでしょう。

(2)連節バスとか新潟の道路事情に合わないし必要ないでしょ。

僕は必要ない派です。連節バスの運転手の方が慣れてきたとしても周りの一般ドライバーが慣れなければ意味はありません。
専用レーンができれば連節バスはあってもいいかなと思いますが。

(3)買ってしまったものは仕方ないから安全性を確認の上、使って行きましょう。

開業時の盛況ぶりを見る限り多くの人がこう考えてると思います。

FYI.
BRTの連節バス 視覚障害者が試乗

連節バス導入やむなしに変節したパパ|Je suis le père de Chip.



ここまで見てきたように連節バスには反対でもBRTそのものには賛成だったり、連節バスには賛成していても料金システムには反対だったりと、新潟市のBRTについては実に多種多様な意見が存在し得ます。

「争気ある者とは与に弁ずる勿れ。」、「君子危うきに近寄らず。」が一番ですが、やむを得ない場合は上記を参考に相手と自分のスタンスを把握し有意義な議論を交わしてください。